大阪地方裁判所 昭和29年(ワ)446号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事実〕原告は昭和二二年頃被告チヨカを通じて山野利夫から家屋一棟を買い受け代金を完済し以来これに居住している。ところがチヨカは「山野は旧家で、家屋を売却していることが分ると都合が悪いから」と称し一先ず自分名義に登記しその後に原告名義に移転することを申入れ原告もこれを承諾した。然るにチヨカは右約定を履行しないのみか無断で被告堺市鳳農業協同組合のため抵当権を設定した。よつて被告チヨカに対しては右約定の履行を求め被告組合に対しては登記の抹消を求める、と主張した。
被告チヨカは原告の主張を争い被告組合は不出頭。
〔判断〕判決は証拠に基いて被告チヨカに対する原告の請求を認容したが、問題は被告組合に対する請求であるとする。曰く「被告組合は民訴一四〇条により、原告の主張事実を自白したものとみなす。ところが原告主張事実は「山野利夫はその所有の本件建物を被告チヨカに売渡し、同被告はその名でこれを買い受け、同被告にその所有権移転登記を受けたが、原告と同被告間の約定により同被告買い受けと同時に同被告より原告にその所有権が移転したところ、その登記未了の間に同被告が被告組合に対し抵当権を設定してその登記を受けた」という趣旨であるから、之によると登記のない原告はその所有権取得を被告に対抗しえないので被告組合に対し抵当権登記の抹消を求める原告の請求は主張自体失当として棄却すべきである。」と。